遺言書作成の実務 pt1

皆さん、こんにちは、司法書士の久保田です。

さて、今回は、遺言書の作成について、解説をしようと思います。

その方法についての解説は別の機会に譲るとしまして、今回は個別具体的なケースを例示し、ご説明しようと思います。

パターン1 認知症の方の遺言書作成

認知症の方が遺言を作成できるのかどうかについてご不安に思われるかもしれませんが、結論からいうと、民法上、遺言を作成するには、
①満15歳以上であること②遺言作成能力があることが要件となっています。
この、②の遺言をする能力とは、すなわち、一般に意思能力を指すものと考えられています。
つまり、認知症であっても、進行度にもよりますが、遺言にあたり特別な手続きが必要ということはありません。
(ただし判断能力が相当程度低下している場合、公正証書遺言が無効になった判例も複数存在します。)

注)成年被後見人が遺言書を作成する場合、上記の要件の他、次の要件が求められます。
1.事理を弁識する能力が一時回復したときに遺言を作成
2.医師2人以上が立ち会う
3.立ち会った医師は、遺言者が遺言をするときにおいて精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記して、署名・押印する

パターン2 障害のある子の世話をしてくれることを条件に、財産を渡す

当職がご面談をさせていただく方に、障害をおもちのご子息、ご息女がおられる方が一定数います。
そして、その方々はご自身が亡くなられた後のことをご不安に思われています。
成年後見制度のご利用もご提案しますが、今回は遺言に、条件をつけて財産を渡すことができるかをご説明します。

遺言に条件を付し、財産を渡すことは可能です。
一例ですが、
「全財産を長男の○○に相続させる。ただし遺言者の次男●●を~~の不動産に無償で居住させ、生活費として、毎月○○円を支払うとともに、身の回りの面倒をみるものとする。」
という文言により、目的を実現することができます。
この場合、遺言執行者を定めておくことをお勧めします。
こういったケースを「負担付遺贈(相続)」といいますが、民法1027条に基づき、遺言執行者は受遺者に対し、その負担の履行を請求し、その履行がない場合、遺言の取り消しを家庭裁判所に請求することができます。

パターン3 長男の妻に財産を渡したい

遺言はその文字通り、人が最期に備え、その意思をしたためるものであり、もっとも尊重されるべきだと考えます。
そして、例えばですが、献身的に自分の世話をしてくれた息子のお嫁さんに財産を渡したいと思いいたるのも当然のことでしょう。
その際に注意すべきことは、「遺留分」です。
兄弟姉妹以外の相続人には遺留分という、一定の財産の保障がなされています。
たとえば「息子の妻に財産の全てを遺贈する。」という文言を書いたとしても、遺留分により、他の相続人に対しても財産を得る権利が渡ります。
もしも、その他の相続人に対して一切の財産を渡したくない場合、相続人の廃除をする必要があります。
相続人の廃除をするには、相続人が被相続人を虐待した場合相続人が被相続人に対して、重大な侮辱を与えた場合、相続人にその他の著しい非行があった場合など、
一定の理由が必要です。
相続人の廃除については、遺言による場合または生前に家庭裁判所に対し請求する方法によりますが、遺言による場合は、その方が亡くなった後に家庭裁判所での手続きの中で、廃除事由の有無の争いが長引くこともあるので、被相続人に廃除の意思があるのであれば、生存中に家庭裁判所に調停又は審判を求めて生前に廃除をしておくべきだと思慮します。

今回は3パターンをご説明しました。
遺言は作る方によって内容は千差万別であり、おひとりおひとりに合わせて作るべきです。
みなさんからのご質問も併せてお待ちしています。

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